ヨーロッパ式消費税(VAT)とは

サッチャーは、財政赤字削減のため、VAT(Value Added Tax)の標準税率を8%から15%に引き上げた。

 

VATというのは付加価値に課税する間接税で、日本でいうと消費税みたいなものである。

 

VATは1973年に導入され、当初は10%の一律課税だったのだが、すぐにスタンダード(標準)、リデュース(軽減)、ゼロ、という3つの段階が設けられていて、生活必需品や子供用品の税率は低く抑えられるようになった。

 

たとえば2012年現在では、基礎食品や14歳以下の子供のための衣料や靴はゼロ課税(0%)になっており、税金はかからない。

 

家庭用のガソリンや電気、ガス料金にはリデュース税率(5%)が課税され、それ以外の物品やサービスにはスタンダード税率で課税される。

 

また、果物や野菜やミルクはゼロ課税だが、フルーツジュースや野菜ジュースはスタンダード課税になる。

 

微妙なのは加工食品の扱いで、たとえばシンプルなビスケットはゼロ課税だが、チョコレートがかかったビスケットはスタンダード課税だ。

 

つまりイギリスでは、ビスケットは子供の食べ物で、チョコレートは大人の食べ物と言うことらしい。

 

なので菓子もビスケット類と判定されるとゼロ課税だが、それ以外だと判定されると、一般課税になってしまうので、その判定を巡ってさまざまな議論が巻き起こっているようだ。

 

また政策によって、普及を図りたい商品を、特定の商品をリデュース指定する場合もある。

 

★イギリスの消費税VATについて詳しくはこちら(英語):Value Added Tax



消費税増税、法人税減税で、経済を活性化させる

サッチャーがVAT(消費税)を8%から15%に引き上げたのは、財政赤字削減の一環だった。

 

ただしこれは近い将来、法人税や所得税の引き下げを行い、内外の投資を呼び込むことを視野に入れたモノだった。

 

70年代後半のウィルソン労働党内閣時代には法人税増税、企業課税強化が行われたが、その結果、企業の税引き後利益率がゼロになると言う異常事態が発生した。

 

73年のオイルショックによって、エネルギーコストや原料コストが上昇していたのに、強い労働組合に屈して賃上げを行わざるを得なくなり、さらに法人税率引き上げと課税強化を受けたので、企業の儲けがゼロになると言う異常事態に陥ったのだ。

 

企業の利益率がゼロになると、投資が止まって経済も止まってしまう。

 

なぜなら儲からないと分かっている事業に、貴重なお金を投資する投資家などいないからだ。

 

経済というのは、

投資→生産→消費(販売)→投資資金の回収→再投資
と言う風に動いていくわけだが、利益率がゼロだと再投資されない。

 

というのも開放経済では、投資先は世界中にあるから、何もわざわざ利潤率がゼロの事業に投資する必要はないからだ。

 

そう言う事態に陥って初めて、企業が適正利潤を上げないと経済が回らないのだと言うことを、イギリスの政治家は理解した。

 

逆に言うと、企業の利潤率を高めれば海外からの投資も呼び込めるようになり、国内の経済を活性化できるということだから、サッチャーは法人税減税で内外の投資を呼び込み、経済を活性化しようと考えたわけだね。

 

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