学校荒廃の原因は統一テスト?それとも教員組合の争い?

90年代後半のイギリスでは、学校の荒廃が大きな社会問題になっていた。

 

校内暴力、イジメ、自殺、十代の妊娠などが話題になり、小学校での銃の乱射事件も起こった。

 

退学処分になる学生も急増し、92年には、退学処分の生徒は約2,000名だったが、96年には、退学処分者は1万3,000人まで増えた。

 

いじめ問題で学校を訴える親も増え、学校側に慰謝料支払い命令が下ったケースも出た。

 

学校が荒廃した原因には、教育への市場原理導入で、低学力生徒が放置され、躾がなされなかったせいだと非難された。

 

サッチャー政権の教育改革では、全国統一カリキュラムが作成され、全国統一学力テスト(GCSE試験)の合格率によって、学校番付が作成され毎年発表されたのだが、このせいで成績不良の生徒に対する教育が行き届かなかったというのだ。

 

学校番付では、生徒の学力をどれだけ上げたかではなく、中三卒業時における到達度テストの合格率や、大学進学希望者が受けるAランクテストの成績で評価された。

 

だから学校では成績優秀者や、合格ボーダーライン前後の生徒が優遇され、テストに到底合格できそうもない生徒は放ったらかしにされた。

 

さらに良い成績が取れそうもない生徒には、試験を受けさせないような小細工をする学校も現れ始め、教員達に疎外され、相手にしてもらえなかった子供達が、非行に走ったのだという指摘がなされた。

 

また教員組合の闘争が原因だという指摘もあった。

 

イギリスでは3つの大きな教員組合があり、組合員獲得競争に明け暮れていたのだ。

 

そして特に荒廃校や学力下位校では、生徒の学力アップよりも、組合活動が優先され、勢力争いばかりしていると非難された。

 

どちらにしてもイギリスでは、できない生徒は教師に見捨てられていたってことらしい。

 



増え続ける「失敗校」

サッチャーの教育改革によって、全国一斉学力テストが行われるようになって以来、イギリスの公立学校の教育の失敗が、どんどん明るみに出されるようになった。

 

たとえば96年の11歳と14歳段階のテストでは、英語、数学、理科で、42%もの学校が、目標レベルに達していなかった。

 

16歳のGCSEテストで合格レベルに達していた割合は、私立学校で75%、国庫助成校で62%、高等専門学校で51%、一般公立学校で45%だった。

 

97年の学校番付の上位50校は女子校で、そのうちの5校が国庫助成校と公立のグラマースクール。

 

最優秀の学校は殆どが入学試験のある私立学校で、無試験で庶民の通う公立の総合制中等学校は、200位以内になんと9校しか入らなかった。

 

総合制中等学校は、授業料が無料で、選抜試験もなく、大学進学の意志もあまりない生徒が多かったため、学力が低いのはある意味当然ではあった。

 

サッチャーの教育改革では、学力不振生徒の対策は殆どなされず、そのために学校が荒廃し、暴力事件なども頻発したため、廃止されたむち打ちの体罰を復活させようと言う動きも出始めた。

 

公立学校では、1986年にむち打ちなどの体罰が禁止されていたが、むち打ち復活に68%が賛成するという世論調査までで始めた。

 

4段階の学校番付の一番下の「失敗校」は増え続け、99年には、およそ400校が失敗校だと判定され、教員の入れ替えや廃止が検討された。


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