社会主義 100年後の現実とは

共産主義の元祖 カール・マルクスは、1867年の第二次選挙法改正で戸主選挙権が認められたとき、「多数派である労働者が選挙権を持つと、資本主義は必然的に社会主義になる」…と述べたという。

 

イノベーション(革新)が社会を発展させるとしたオーストリアの経済学者シュンペーターも、戦前、資本主義の発展がこのまま続くと、社会は大企業・大組織だけになって官僚化し、企業家精神が失われて社会主義化すると予言した。

 

しかしマルクスもシュンペーターも、社会が社会主義化した後に何が起こり、社会主義がどうやって運営されるかについてはほとんど何も言わなかった。

 

彼らにとって社会主義が達成された社会というのは、良くできた指導者が全ての資源を適切に配分し、国民はそれに満足して豊かに暮らすイメージだったのだろう。

 

シュンペーターに至っては、物資が国民に行き渡るようになったら、企業家の仕事は福祉事業くらいしか無くなると考えていた。

 

(これはまあ、ある意味あたっているが)ところが100年後のイギリスで人々が実際に目にしたモノは、社会資本を人質にとってストを打ち続ける労働組合と、組合の暴走を抑えられない無力な政権の姿だった。

 

石炭、鉄鋼、電力、通信、交通などの基幹産業が国有化され、労働者の代表たる労働党が政権を握っていたにもかかわらず、ストはどんどん長期化し、国民生活は不便なモノになっていった。

 

有権者の多数を労働者が占めるようになったため、たとえ保守党が政権を担当していたとしても、労働者の権利であるストを制限するのは難しく、労働組合だけがこの世の春を謳歌する社会になっていたのだ。

 



左傾化した労働組合、労働党の乗っ取りに着手する

労働組合が毎年のようにストを行い、コスト・プッシュ・インフレが常態化した1960〜70年代のイギリス。

 

1970年の下院総選挙では、労組のストを抑えられない労働党に替わり労働階級出身のエドワード・ヒース率いる保守党が政権を奪回した。

 

ヒースは党員公選で選ばれた初の保守党党首で、課題になっていたEEC(ヨーロッパ経済共同体)への加盟を決め、労使関係法を成立させて、労使間交渉のルールを定めた。

 

また国営企業の民営化に取り組み始め、労組との話し合いを始めようとしたのだが、左傾化した労働組合はもちろんヒースに取り合わず、炭坑労組などはいつもの長期ストで闘争を始めた。

 

一方、野党に転落した労働党は、さらなる左傾化に襲われていた。

 

左傾化した労働組合の主張は、イギリス社会のさらなる社会主義化を目指す内容で、

  1. 国家企業庁を創設し、産業の育成や地域間格差の是正を図る
  2. 政府と大企業で協定を結び、計画的な生産と資源配分を図る
  3. 北海油田、金融機関、造船企業などの有力企業25社を国有化する
  4. 労働者の経営参加を図り、産業民主主義を図る
といったものだった。

 

これらの主張を一言で言えば「イギリスの金目のモノは全て国有化し、労働組合のモノにしてしまえ」というような内容である。

 

党首ウィルソンを始めとする現実派の労働党幹部は、これらの主張は数十年前の主張で、時代錯誤だと反対したが、左傾化した労働組合側はこれを1973年綱領として採択してしまった。

 

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