日本には、先進国責任がある
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国の基本的なインフラを整備するための財政投融資計画と特別会計。
この財政投融資計画に使われる資金は、郵便貯金や年金積立金が使われた。
つまり税金を使う訳ではないので、国会でもそれほどしっかり審議されることなくいわば了承を得るだけだった。
しかしこれは別の言い方をすると、公団や特定の機関が郵便貯金や年金積立金を自由に使って事業をして儲けていたと言うことである。
何しろ郵便貯金と簡易保険を合わせると、
- 郵便貯金残高:約175兆円
- 簡易保険残高:約100兆円
この莫大な資金を低利で長期間、有利な条件で借りることができたら、そりゃ儲かるだろう。
そしてこの膨大な資金があることを前提として、道路公団は不必要な道路もドンドン建設し、空港公団は使う人が殆どいない場所に空港を建設した。
公団などは郵貯資金を安く調達できたから、いくらでも事業を拡大することが可能だったわけだ。
これが公務員の天下り先確保や天下り先での高額報酬につながっていると批判されていた。
つまり民間は高いコストを支払って資金を調達し、それで懸命に事業を継続しているというのに、公団は安いコストで優先的に資金を調達して、使われないような道路や空港などを乱造して、天下り先をたくさん作っているってことだ。
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小泉政権は、特別会計を「見える化」しただけ?
増え続けるムダな公共投資。
そして投資不足で伸び悩む民間経済。
この淵源は、低利で長期間調達できる郵便貯金や年金などの資金の流れが問題だ。
この資金の一部でも民間に投資されれば、日本の経済成長に寄与するはず。
そうして小泉政権では、財政投融資の資金を「国債」という形で管理するように変更した。
つまり郵便貯金や簡保の運用資金を直接財投資金として融資するのではなく、財投債という国債の形で債権を発行して、それを「郵貯銀行」や「かんぽ保険」が買うという形である。
財投債の発行額や予定利率は、国の予算で決められるので、公団などが300兆円の運用資金を勝手に使うと言うようなことは少なくとも防げる。
ただし、郵貯やかんぽ保険の資金で民間投資というアイデアは、資金運用能力のない組織だったので残念ながら実行されず、結局国債を買って運用するという行動に出るしかなかったのだが。
財投債は、それまで財政投融資計画という特別会計で各省庁の公務員が好き勝手に運用していた資金の流れを国債という形で表に出したというだけに過ぎない。
また必要がなければこの国債は発行されない仕組みで、要するに借り手が現れなければ減る仕組みである。
なので財投債は、郵政改革の一環で、今まで見えなかったモノを見える化しただけと判断することも出来る。
国民経済計算体系(SNA)上も、一般政府の債務には分類されないので、国債としての勘定から外しても良いかもしれない。
それでも小泉政権下で増えた国債は5年間で178兆円もある。