大事なのは教育カリキュラムじゃなく、教師の質と量
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できない子供を1人でも減らす。
落ちこぼれを作らない。
フィンランドの義務教育ではそのために、
- 就学前教育
- 就学延期(1年間)
- 1日1時間の補習
- 義務教育でも留年
- 中学卒業延期(1年間)
テストも単純な知識を問うテストではなく、本を読んだり実験や観察からエッセイ・小論文を書かせてそれを評価するという形式に変えた。
生徒20~25人くらいで1クラスを編成し、小学校では、ペーパーテストの点数ではなく、生徒1人1人の努力を評価することに重きを置くようにした。
一方、教員資格は大学卒から、大学院卒(修士号取得)に引き上げた。
教員養成過程も教育実習の期間を増やし、1年次から教育現場で様々なトレーニングを積ませるようになった。
教科書の検定制度も1992年に廃止し、最低限教えるべき事をナショナル・コア・プログラムという形で決めて、教科書や教材などの選択は教師ごとに自由に行って良いことにした。
学校や校長の裁量権も拡大し、教員や補助教員の採用も学校単位で自由に採用できるようにした。
つまり校長と学校スタッフと保護者代表が集まり、面接して教員を採用する仕組みだ。
教員の契約は3~5年契約で、たいていは更新されるが、能力不足であれば更新を見送ったり、問題教師はすぐに解雇できるようにした。
こうして学校や教員に広い裁量権を与えて「民間活力」を引き出す一方で、学校には毎年自己評価を課し、教員には契約更新のために真面目に働くインセンティブを与えたわけだ。
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子供は競わせず、教師を競わせる
フィンランドでは教員は学校に雇われる。
学校は教員に欠員が出ると求人情報を出し、学校の理事会や採用委員会が教員を採用する。
教員の契約は3~5年契約なので、例え採用されても働きぶりが悪いとクビになって次の仕事先を探さないといけない羽目になる。
なのでフィンランドの教師は、常にスキルアップに励む必要に迫られている。
そのせいもあって複数の指導資格を持つ教員も多い。
というのもその方が採用されやすいし給料も高くなるからだ。
教員に採用されても勤務時間外に大学に通って、特別支援資格など別資格を取ったりする教師も多い。
福祉国家フィンランドも財政難なので、教員の給与は極力抑えていて薄給なのだが、学校の勤務時間は短いので勤務後にスキルアップに励むこともできるのだ。
またフィンランドには子供向けの学習塾や予備校はないが、校長向けや教員向けの研修ビジネスは盛んで、自費で様々な研修プログラムを受ける教員も多いという。
「良い教育」を行うためには「できる教師」が必要だが、フィンランドでは「できる教師」を養成するために「教師の市場競争」を導入しているわけだ。
一方、フィンランドでは教員であっても副業は可能なので、3時まで学校で教え、夕方からカフェを経営しているような教員もいるらしい。
教師としての仕事をしっかりやっておれば、副業してても構わない、というのがフィンランド流か。
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