教育の平等と情報公開で、強い国を造る
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東西冷戦終結後の新しい時代に対応するため2000年に憲法全面改正に踏み切ったフィンランド。
2000年憲法の主な改訂は、
- 児童取り扱いの平等
- 男女の平等
- プライバシーの保護
- 死刑の廃止
- 情報アクセス権(情報公開)
- 環境権
- 表現の自由と児童保護規定
- 永住外国人の地方参政権
- 教育権(高校就学権)
- 労働権および商業活動の権利
- 兵役の義務と兵役忌避の権利
- 緊急事態における基本権と自由の一時的制限
- 環境保護の責任
これはフィンランドで育つ子供に教育の平等を保証し、フィンランドに正当に居住する者に自由と政治参加を保証し、情報公開によって国民全体が国の情報を共有することによって、強いフィンランドを作るための憲法になった。
フィンランドはわずか540万人の小国であり、ロシアとスウェーデンという二つの大国に挟まれ、長年このどちらかの国の支配下にあった国。
また貿易依存度が25~35%もあり、日本の倍以上輸出に依存している国。
こんな国では国民同士の競争より、まず協力が必要で、そのために平等と情報開示によって情報共有し、官民が協力して国を支えることが不可欠だと言う判断だろう。
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読み書きができなければ結婚もできない。
わずか500万人の人口から、強い国を造る人材を生み出すには、全員参加で事に当たるしかない。
そのために必要なのは、能力のある人材の育成だ。
そのためにフィンランドでは、教育の平等によって、国民1人1人の能力の底上げを図ることにした。
フィンランドでは元々、読み書きできない人間は一人前とは見なされず、結婚を許されなかったそうだが、世界が工業社会から情報社会に移っていくさなか、読み書きできない子供を放ったらかしにしておく余裕なんて、もはやフィンランドにはないということらしい。
そして官民が協力して国を支えていくためにもっとも重要なのが情報の公開と共有だ。
たとえば東日本大震災時の福島第一原発の大事故で、東京電力が原発の状態を明らかにせず、政府が放射能の飛散情報をすぐに出さなかったため、国民はどう対処すればよいのか分からず、政府に対する不信が増大する羽目になった。
大震災の翌日の午前中に、当時の菅首相が福島第一原発視察に出た時点で、「何か原発であったらしいな」ということは分かったが、一国の首相が直接視察に行かないと原発の状態が掴めないと言う事自体が異常である。
正確な状況が掴めれば、国民もそれに対応することができるが、東電や公務員の恣意的な(いい加減な)情報隠蔽によって、国民は右往左往させられ、疑心暗鬼になった。
こういう事があると、政府や行政に対する信頼は一気に失われ、たとえ必要なことであっても、国民の協力は得られなくなる。
フィンランド憲法の情報アクセス権は、こういう事態を避け、緊急事態でも国民の協力を得るために必要なモノだろう。
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