フィンランドは、国を支える人材を必要としている

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学力ナンバー1、経済の国際競争力ナンバー1のフィンランド。

 

フィンランドの教育目的は、平等や公平な社会を作るためではない。

 

実際、フィンランドは格差が拡大している国で、OECD(経済開発機構)加盟国データでも高所得者層と中間層の所得格差が広がっている数少ない国の一つだという。

 

つまり平等や公平は、国民が協力して国を守るために必要だからであって、いわば国防のためなのだ。

 

というのもフィンランドの歴史は、スウェーデンとロシアの支配を受け続けた歴史であり、大国の狭間でなんとか生き延びてきた歴史なのである。

 

東西冷戦下では、ソ連と国境を接する国は、殆どの国が軍事力という暴力で共産化されたが、そんな超大国ソ連と国境を接しながらも民主主義だけは譲らず、独立を守り続けた国である。

 

なのでフィンランドの教育の根底には、大国の狭間に位置する厳しい国際環境で、フィンランド民族を守る人材を育てる大目的がある

 

ところがフィンランドは、わずか540万人強の人口で、国防もビジネスも医療も教育も全て賄わなければならない。

 

地理的にも孤立しがちであるから、食糧の完全自給も目指さねばならない。

 

だから国内で競争などしている場合ではなく、国全体で強いチームを作れるように様々な才能を持った有能な人材を育て、フィンランド人の国が亡くならないよう図っているのだ。

 



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林業立国から、貿易立国へ

フィンランドは戦後しばらくまで林業の国で、国民の半分が農林業で生計を立てていた。

 

しかし東西冷戦の狭間にあったことで、ソ連(ロシア)の西のゲートウエイ(玄関口)として、港湾や鉄道が整備され貿易中継地(トランジット)として栄え始める。

 

またソ連寄りながらも中立を保ち、西側から技術を取り入れて工業化を進め、それをソ連や東側諸国に輸出したから、元々あった機械工業や化学工業も盛んになった。

 

現在でもロシアに輸出される自動車や電化製品は、フィンランドまで船で運んでロシアに運び込まれているが、対ソ連輸出はフィンランドの輸出の26%を占めるほどになり、1970年には既に1人あたりGDPはイギリスや日本に肩を並べていた。

 

ところが80年代に国債を大量発行して景気を過剰に刺激していた上に、1991年のソ連崩壊が経済に深刻なダメージをもたらした。

 

つまり東側との貿易が大幅に減り、バブル景気に沸いていたフィンランド経済は一気にどん底に落ちたのだ。

 

株価や不動産価格は半値まで暴落し、失業率もほぼ0から5人に1人が失業するという悲惨な状況。

 

GDPも一気にマイナス13%となり、国債も債務不履行に陥り、フィンランドの通貨マラッカは価値を大きく下げた。

 

フィンランドは、日本や韓国・台湾のように輸出によって経済を発展させてきたが、ここで大きな転換点を迎えることなる。

 

フィンランドは憲法改正と教育改革によって、新しい時代に対応すべく動き始めたのだ。

 

NEXT:ソ連崩壊で岐路に立つフィンランド。

 

憲法改正と教育改革で生き残りを図る


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