リストラと就職氷河期のダブルパンチ
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バブル崩壊を期に始まった日本の失われた20年。
日本人は今まで信じてきた様々な神話が、単なる思いこみであったことに気づかされた。
土地の値段は下がらない→バブル崩壊後15年連続で下落しつづけた日本は安全だ→地震など全く無警戒だった阪神淡路で大震災→宗教団体が毒ガスを撒いた地下鉄サリン事件銀行は潰れない→20以上の銀行が経営破綻した→拓銀や長銀など一流都市銀行まで倒産、整理そしてそれまで日本企業では滅多になかった企業買収や不採算部門の切り売りも行われるようになった。
そして旧財閥系の三井と住友など、ライバル企業同士が合同で事業を行ったり、あるいは統合して一つの会社になったりという、生き残りをかけた統廃合が当たり前になった。
リストラなんて言葉が流行語になり、一流企業ではタブーだった人員整理も頻繁に行われるようになった。
なにしろ戦前からリストラを嫌っていた松下電器(パナソニック)ですら、大規模に希望退職者を募らねばならなくなっていたのだから、多くの企業が存続の危機に怯えて、生き残りを模索していたのだ。
そして企業の存続さえ危ぶまれている時代には、安全な就職先など望むべくもないから、大学を出たモノの就職先を見つけるのに四苦八苦する学生が続出した。
就職先が見つからず、就職を断念したと実家に電話をすると、なんと父親もリストラで職を失って職探し中だなんていう笑えない笑い話もよく紹介された。
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戦後初のデフレが世紀末の日本を襲う
90年代の日本はバブル経済の反動でとてつもない大不況に陥ってしまった。
企業の倒産によるリストラ、新卒大学生の就職氷河期と呼ばれた就職難、そして起こったのが、深刻なデフレである。
デフレというのはモノの値段が下がる現象だが産業革命後のイギリス経済では頻繁に起こり深刻な失業問題を引き起こしていた。
これを解決しようとしたのがジョン・メイナード・ケインズで、彼が打ち出したのがケインズ政策と呼ばれるモノだ。
ケインズは「デフレはインフレよりも経済に悪い」と唱え、政府が積極的にお金を使うことを奨励した。
このケインズ政策を先進国が採用するようになって20世紀後半にはデフレは滅多に起こらない経済現象になった。
ところが20世紀末の日本でバブルが崩壊し、人々の買い控えが長期間にわたった。
そのせいでユニクロや百円ショップのダイソーなど、安くものを売れる企業だけが躍進して、中途半端な値段の商品は売れなくなってしまった。
これによってデフレ・スパイラルが生まれた。
デフレ・スパイラルとは、値下げが値下げを呼ぶデフレの悪循環だ。
モノが売れない→企業は商品の値下げせざるを得ない→企業の売り上げが減って残業がなくなり、パートやアルバイトも削減→従業員の給料が減って節約せざるを得ない→モノが売れない→値下げせざるを得ない(繰り返し)こういう風に、ドンドンデフレが進行していった。
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