アービング・フィッシャーと予算制約式
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日本が経済成長を続けるには、消費が旺盛な40代以下の層が収入を増やさねばならない。
というのも50を超えると、健康に関する支出が増えるだけで、積極的に消費する必要がないから。
お金を使わない人にお金が回っても、消費しないから経済が回らない。
しかし40代以下の層にお金が回ったとしても、お金を気前よく使うとも限らない。
というのも今の若者は自動車も買わないし、家を建てるという熱意もあまり無いらしい。
これは何故かというと、消費には予算制約というものが働くからだ。
予算制約というのは、使えるお金の額によって消費水準が変わるということで、たとえば月10万円しか収入がなければ、お金は10万円しか使えないと言うことになる。
これだけだと「何を当たり前の事を」と思うが、この先が本題で、予算制約には将来の収入の見込みも関係するという。
すなわち、現在の消費水準を決めるのはなんと、将来の収入なのだ。
これを唱えたのがアメリカの経済学者のアーヴィング・フィッシャーである。
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将来の収入が、現在の消費を決める
フィッシャーは「予算制約式」によって現時点の消費水準が今、手元にあるお金ではなく、将来の収入によっても制約されるとした。
たとえば今、ある人が月に100万円の収入があったとしても、それを全部使うとは限らない。
というのももし次の月の収入が、10万円しかないと考えたら、この100万円を使うのはためらうからだ。
逆に今、手元に10万円しかお金が無くても、次の月にまた100万円の収入があると思ったら、10万円全部使ってしまっても大丈夫だと考えて、10万円以上使ってしまう可能性もある。
つまり消費水準というのは、手元にいくらあるかで決まるわけではなく、次の収入の見込みによって変わってしまうわけである。
そしてこれは、さらに何年も先の収入見込みからも影響を受ける。
すなわち現在、いくらお金がなかったとしても、将来、収入が増えると思っていたら、人間はお金を使う。
逆に現在いくら手元にお金があっても、将来の収入が増えないと思えば、人間はお金は使わない。
これがフィッシャーの予算制約ということであり、後者が今の日本経済で起こっている現象なのだ。
もう少し具体的に言うと、
- 年寄りは、老後が心配だからお金を使わない。
- 若者は、将来の収入が増えそうにないから、お金を使わない。
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