教えることから学ぶことへ。情報読解力

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1995年のフィンランド教育改革、国はナショナル・コア・カリキュラムという最低限の学習内容を定めた。

 

それ以上の教育は、基礎自治体、すなわち一番住民に近い自治体が自由にやって良いという決まりにし、自治体の教育委員会や学校に大幅な裁量権を与えた。

 

これによって学校や教師は、自分たちで学習カリキュラムを自由に編成し、教え方も自分たちで工夫してできるようになった。

 

ただし財政難から教育予算はギリギリの水準まで削減され、不足部分は自治体や学校で工面することになった。

 

また学校経営は公立校であっても学校独自で行われるようになり、中学や高校は生徒集めのために様々な特別コースを用意しはじめた。

 

スポーツ科を設ける学校、理科系に強い学校、大学進学率を誇る学校など、学校がそれぞれ特色を打ち出しはじめた。

 

教育内容に関しては「教えることから学ぶ事へ」という風に、生徒の自主的学習を重視する方針に転換した。

 

これは現代のような大変化が次々と起こる状況で、自分で情報を集め、自分の頭で考え行動できる力を養うということらしい。

 

情報読解力」という新しいコンセプトで、解決すべき問題を設定し、それを解決するための情報を集め、問題を解決する方法を考えるという、ソリューション学習だ。

 

そのために小学校低学年での評価は、知識や暗記力を問うだけのペーパーテストは廃し、生徒1人1人のがんばりや努力を評価する方式に変更された。

 

高学年以上でも宿題やテストは、本などを読んでエッセイを書くという形式に変更され、生徒に山ほど本を読ませる方式に変わった。

 



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自由な教育で、学校間格差が拡がった

1995年の教育改革で、「子供中心の教育」に舵を切ったフィンランド。

 

評価もペーパーテストでの点数から、生徒1人1人の努力や達成度を元に評点を付けるようになった。

 

点の付け方も、教師が勝手に点を付けるのではなく、生徒自身に自己評価をさせ、教師の評価を合わせて点数を付けるようになった。

 

フィンランドの成績表は10段階評価で、4~10の成績を付ける方式で、平均が7で、8が「良」、9が「優」といったところか。

 

3以下は不合格で、4は「不良」。

 

4を2科目以上取ると自動的に留年になるので、義務教育では1日1時間をメドに、補習授業が実施されるようになった。

 

しかしこのような教師本意の評点の付け方では、当然ながら学校間で評価のバラツキが発生して高校進学でも問題が生じた。

 

フィンランドの場合、中学3年の最後の成績で進学先が決まる。

 

普通高校や職業学校では内申点の基準を公表し、それを見て受験生は第5志望まで書いた進学先を提出する形だ。

 

なので評点が辛すぎて行きたい高校に進学できない、あるいは評点が甘すぎて、高校に進学したら授業に付いていけないという問題が発生した。

 

そして実際、フィンランドでは教育の平等が達成されているかどうか、90年代末に9年生(中学3年生)で学力テストが行われ、4000~5000人をメドにサンプルデータが集められたのだが、その結果、首都ヘルシンキの学校では学力テストの成績が良く、北部の学校では成績が悪いという結果が出た。

 

こういう事が起こったため、2004年版の教育指導要領では、教える内容を増やし、評価を付ける統一基準が設けられた。

 

また義務教育終了時の望ましい成果基準も定められた。

 

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