教員資格は女性に人気の職業資格?
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暗記型の勉強から脱却し、多読と作文力で生徒を評価しだしたフィンランド。
公用語であるフィンランド語とスウェーデン語、英語、第ニ外国語と4カ国語を学ぶフィンランドでは、語学学習に大きな時間を割くのはやむを得ない。
これは遊びではなくて実用のためだから、仕方がないと言えば仕方がない。
ただこの読解力重視がどうやら別の問題を引き起こしているらしい。
というのも男性教員が足りず、数学や理科などを担当する教員が不足しているのだ。
男女の脳には性差があって、言語処理に関しては女性の方が優位にあることがわかっている。
また学習障害の一つで、文字の読み書きに難がある「難読症(ディスレクシア)」の発生率は2:1と男性に多く、読み書きを苦手としている男の子は多い。
つまり読み書きが得意なのは男の子より女の子だから、エッセイ中心のテストや宿題では、女の子のほうが良い評価を得るのは当たり前で、実際、高校(普通科)の女子比率は6割にもなるそうだ。
そのせいで人気の高い教員養成学科に女子が集中して、志願者の男女比は1:4と8割近くが女性になってしまった。
フィンランドの教員は給料は高くないが、休みも多いし拘束時間も短い職業。
結婚や子育てしながらでも働けて、再就職もしやすい。
そんなわけで女子に大人気なコースなのだが、そうなると理数系に強い男性教諭が養成できず、現場で男性教師が足りなくなってきたのだ。
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数学や理科の教員不足
大学の教員養成過程志願者の約8割が女性で教員女性比率も70%以上のフィンランド。
近年は女性教師が増えすぎて、男性教諭や理数系教師が不足しているという。
女性教員比率が70%以上というのは、多いのか少ないのかというと、日本の46%と比べればはるかに高い。
日本や韓国などの東アジアの国は男性比率が高く、中国(54.5%)やインドネシア(56.7%)も男性教員が半数近くいるのだが、しかしOECDの統計を見てみると、平均が66%なので少し高い程度だ。
グラフにしてみるとこんな感じで、欧米の教師の世界は女性優位の世界らしい。
女性教員比率 国際比較 (2009年)
※Education at a Glance 2011: OECD Indicatorsより作成しかし男女比が極端に偏ると、様々な弊害があるようで、ヨーロッパではどうやったら男性教諭の数を増やせるかといろいろ頭を悩ませているらしい。
フィンランドでは徴兵制があって男性には兵役の義務があるので、兵役を終えた志願者を優遇したり、成績がもう一つでも教員養成コースに進めるような仕組みを考えたり、いろいろ教員大学の入試制度の改善を行っている。
だが、休みは多いが給料が比較的安い職業なので、なかなか男子学生が志望してくれないのが現状らしい。
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