「お約束」という成功フォーマットの共有が、新しい笑いを切り拓いた。

「お約束」という新しいお笑い方程式誕生

漫才ブームの到来によって、新しい才能の発掘が必須だと分かり、NSCという芸能学校を作ったヨシモト。

 

この狙いは的中し、40万円という授業料にもかかわらずNSCにはお笑い芸人を目指す多くの若者が集まった。

 

そしてその中から新しいお笑いタレントが数多く誕生したことによって、師匠を持たないノーブランド芸人が新たな笑いを開拓していった。

 

またその一方でヨシモトは、地方へのお笑いの普及と、地方でのお笑いタレントの発掘と育成にも取り組み、元々、お笑いという文化がなかった地方に、お笑い文化を拡げることに成功した。

 

東京や大阪以外の大都市圏にお笑い芸人を送り込み、同時に地元でも新しいタレントを発掘することで、お笑いと吉本興業の認知度を上げ、気軽に芸人を呼んでもらえるような環境を作り上げた。

 

さらに東京ではライバルである他事務所のタレントと交わることによって、新たな笑いや、新しい番組のフォーマットを作り出した。

 

それが実は「お約束」などと呼ばれる、お笑いタレントが集団で作る笑いの方程式であり、コンビ・プレイによる笑いの創造である。

 

これは漫才のフォーマットというより吉本新喜劇のフォーマットで、たとえば誰かがギャグを言うと、みんなでズッコケると言うようなアレである。

 



実は高等技術である「お約束」

誰かがギャグを言ったときに、みんなでズッコケるという「お約束」は、吉本新喜劇で培われた集団芸である。

 

テレビに出ている人気芸人さん達は、今やみんな当たり前のようにずっこけているが、非ヨシモト芸人にとってズッコケは、かなり難しい技術らしい。

 

だからナイツやオギヤハギといった東京の中堅芸人でも、いつも他の芸人に遅れてズッコケていて、みんながさっさと席に戻っていても、なぜか前の方に取り残されていたりする。

 

集団芸であるから、皆がタイミングを合わせることが重要なのだが、非吉本芸人にとっては普段やっていないことで相当難しいのだろう。

 

しかし「お約束」というのは単なるフォーマットであるから、知って練習しておれば誰でも参加できる笑いのパターンである。

 

たとえば、ヨシモトではないが、大田プロ所属のダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」というギャグなんかも「お約束」パターンの笑いだろう。

 

これはメンバーの上島竜平さんが何かの挑戦で「やりたくない」と言い出すと、別のメンバーが「じゃあオレがやる」「じゃあオレがやる」と手を挙げ出す。

 

それを見た上島さんが「じゃあオレもやる」としぶしぶ手を挙げた途端、今まで手を挙げていたメンバーが一斉に手を下ろして「どうぞどうぞ」と言うだけである。

 

他のメンバーは、手を挙げて「じゃあオレもやる」と言うだけなので、実は誰でもこの「お約束」の笑いに参加できる。

 

だから他事務所のタレントや女優サンまでも巻き込み、「じゃあアタシもやります」「じゃあボクもやる」と言う風な展開ができる訳だ。

 

NEXT:事務所の垣根を越えて、他のメンバーを引き立て合うのが今の時代。

 


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