フィンランドの教育が分かる本
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フィンランド教育を理解するために、参考になったのが次の4冊の本だ。
それぞれどのような本か、簡単に説明しておく。
受けてみたフィンランドの教育
この本は、日本からフィンランドの高校に1年間留学した日本人の女の子から見たフィンランドの教育事情。
フィンランドの高校での教育の様子や、ホームステイ先の親や子供の本音が垣間見れる。
また留学終了後、本書を書くために英語が話せるライターの母親と再びフィンランドへ渡って後日談や教育制度の詳しい話を取材していてわかりやすい。
フィンランド流 社長も社員も6時に帰る仕事術
この本は日本企業で働く幹部社員から見たフィンランド人の価値観や働き方がわかるモノ。
日本より国際競争力が高く、1人当たりGDPも多いフィンランド。
さぞかしフィンランド人は働き者なのだろうと思ったら、会社員は残業せず6時には家に帰ってしまう。
年間有給休暇は30日あるが、それも完全消化で夏は開店休業状態。
フィンランド人がいかに効率よく働いているか、学ぶべきことが山ほどある本だ。
教育立国フィンランド流教師の育て方
こちらはフィンランドの教員養成システムに焦点を当てて、教育現場をたくさん取材して書かれた本。
小学校・中学校・高校・そして教育学部や特別支援教育など、バランス良く学校の様子や制度が教育者側の視点で分かる。
フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか
こちらはフィンランドで10年以上教師をやっていたフィンランド女性が書いた本で、教員育成や初等教育などを中心に書かれた本。
フィンランド教育も日本と同じ様々な問題に突き当たっていて、人間が泥臭くやっているんだというのが分かる本。
この四冊のフィンランド関連本を読んで、ようやくフィンランドでどういう教育が行われているかおぼろげに分かってきた。
ということでここから、フィンランドの教育制度について、順々にまとめていくことにしよう。
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フィンランドの教育制度のだいたい
フィンランドの教育制度のあらましをまず見てみる。
フィンランドの義務教育は9年一貫制だ。
小学校が6年で、中学校が3年。
そして中学校を卒業したら、普通科高校か職業専門学校に進学する。
つまり15歳で最初の大きな選択が待っている。
大学に行くか、職業資格をとるか、だ。
というのもフィンランドで大学へ行くには、普通科高校に進学しなければ合格は難しいからだ。
フィンランドの職業専門学校は、日本の商業高校や工業高校とは違って、職業訓練校であり資格取得が目的の学校だ。
一方、大学へに進学するには前提条件として、高卒資格試験に合格しないといけないのだが、職業専門校に進学するとなかなか難しいらしい。
だから大学に行くかどうかを、中3の時点で決めねばならないわけだ。
そして高校入試はペーパーテストではなく、中学の成績、いわゆる内申点で合否が決められる。
さらに普通科高校に進学するには、内申点が10段階で平均7以上が必要だが、成績の平均が7くらいなので、偏差値で言えば50以上しか普通科にはいけない。
つまりフィンランドでは半数が、職業学校へ進学するということになる。
また高校ごとにあらかじめ合格レベルが発表されていて、A高では平均8.6以上、B高では平均7.8以上等という風に発表される。
受験生は、それをもとに第5志望まで書いた願書を出す事ができるが、合否は中学卒業時の成績で判定され、振り分けられる。
大学進学は、全国統一の高卒卒業資格試験(4科目)にパスした上で、大学ごとの入学試験を受験する。
たいていは学部ごとの指定専門書を読んだ上で、エッセイ(小論文)を書くテストで、卒業資格試験の成績と合わせて合否が決まる。
ということで次は初等教育から順に、フィンランド教育を見ていくことにする。
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