知識の覚えておくべき特徴とは
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知識とは線型でない、無形の非競合財である。
線型(せんけい)とは数学用語であり、その定義は、f(x + y) = f(x) + f(y)f(ax) = af(x)の二つを満たす関数を線型と呼ぶ。
一つの式ににまとめて、f(ax + by) = af(x) + bf(y)と表わす場合もあるが、ベクトルとか行列などがある。
小中学生で分かる簡単な例は「比例」だ。
比例というのは、投入量が2倍・3倍になったとき、生産される量も2倍・3倍になるという状態である。
つまり「知識は線形でない」というのは「投入量に比例しない」、知識をたくさん集めたからと言って、生産物は増えないってことだ。
まあ百科事典なら、知識を集めれば集めるほどページ数は増えるけどね。
で、知識というのは無形であり、なでたり触ったりはできないものだ。
さらに算数や理科のように、みんなで同時に使うこともできるし、みんなで使っても、減らない。
これが「非競合財」という意味の内容だ。
トフラーは知識の特徴として他に、いくつかの例を挙げている。
・個々の知識は、その状況を作っている他の知識との関連性でのみ意味を持つ・知識は多ければ多いほど、関連性によって、役立つ可能性が高くなる・知識には「ハッキリしたもの」と「ボンヤリしたもの」がある。
・知識はシンボルや抽象的な概念に圧縮できる。
(たとえば「民主主義」とか)・知識は移動が簡単であり、デジタル化すると瞬時に何百万人にも配布できる。
・知識は秘密にしておくことが難しく、必ず広まっていくこれらの特徴が、従来の財とは全く違う性質につながっていく。
知識に値段を付けることはできない
知識というのは、財として物理財とはまるで違う性質を持つ。
その一つ目は、知識の価値は決められないと言うことだ。
物理的な財というのは、他の物理的な財と比較することによって、それなりの価値を定めることができる。
値段を決める元になるのは、品質・ランクと需給関係である。
たとえば牛肉には種類・部位と等級というのがあって、生産量や需要量によって市場で価格が定められる。
等級の高い肉は等級の低い肉よりも安いが、需要と供給の関係で等級とは関係なく値段が上がることもある。
美味しい肉が欲しい人がたくさんいれば、希少性があって等級の高い肉は高く売れる。
100グラム5000円とか1万円なんて言う牛肉もあるし高級スーパーにはそう言う肉が並んでいる。
一方、味よりも量が欲しい人がたくさんいれば、等級が低くても供給量の多いランクの肉の値段が上がる。
物価が上がったとか下がったという場合は、こちらの肉の価格のことを言っている。
高い肉も安い肉も、取引きされる価格が大まかに決まるから、生産者は妥当な生産計画をたてることができる。
ところが知識財というのは、そう言う風に価値を決めることができない。
なぜかというと、個々の知識は、その状況を作っている他の知識との関連性でのみ意味を持つからである。
知識財というのは、それを生かせる人にとっては価値があるが、そうでない人にとっては全く価値がないのである。