アドホックな世界の到来

カップリング・パーティのスピード

情報社会になると、時間の使い方は小間切れになって、物事を判断するのに時間をかけなくなった。

 

ホームページを見るにしても、検索エンジンからドンドン情報をピックアップして、必要がないと思ったらドンドン別のサイトに移動していく。

 

情報社会では情報量がバカみたいに増えたから、玉石混淆の情報の中から自分に適したものを見つけるため、一つ当たりの判断時間は、相対的に短くなってしまったのだろう。

 

人々が文章などの情報をじっくり読まなくなったと言うより、情報の取捨選択のスピードが上がったものだと考えられる。

 

つまり速読のようなことを普通にやり出したって事だね。

 

インターネットで検索して情報を探していくうちに、自分にとって有用な情報が載っているサイトの雰囲気というのが分かるから、それを一瞬で嗅ぎ分けてページを移動していくってわけだ。

 

そしてこれは、インターネットだけに限ることではない。

 

実生活でも、判断スピードはドンドン速くなる傾向にある。

 

たとえば結婚相手や交際相手を捜すカップリング・パーティ。

 

カップリング・パーティでは、十人前後の男女が数分ずつ顔を合わせて、お互いに相手を品定めする。

 

テキストには、スピード・デートという名称で紹介されているが、3分前後の時間のお見合いを次々と繰り返していき、お互いの意志が合ったところでカップル成立というパーティだ。

 

カップリング・パーティとはカップリング・パーティでは、とにかく自分とフィーリングが合う人を捜す。

 

じっくり相手を見定めてから、行動を起こすわけではない。

 

多少の事前情報と第一印象・インスピレーションで決め、お互いに波長があったら相手の連絡先を受け取ることができる仕組みだ。

 

情報社会では、そうやって瞬時に情報を収集し、瞬時に判断を下すことが要求されていて、人々は好むと好まざるに関わらず、時間を小間切れにして使い、瞬時に判断している。

 



アドホックな世界

アドホック(ad hoc)とはラテン語で、意味は「特定の目的のための」「限定目的の」というものだ。

 

たとえばアドホック・コミティーと言えば、特定目的のために設置されるが、目的が達成されたり問題が解決した後に解散する委員会のことだ。

 

トフラーは、硬直化して非効率化する官僚的組織(ビューロクラシー)に対し情報社会で有効な組織は、特定の問題を解決し結果を出すための組織であり、それをアドホクラシーと呼んだ。

 

ビューロクラシー(官僚制)の特徴は、ウィキペディアによると、

  • 形式的で恒常的な規則に基づいて運営される。

     

  • 上意下達の指揮命令系統を持つ。

     

  • 一定の資格・資質を持った者を採用し、組織への貢献度に応じて地位、報償が与えられる。

     

  • 職務が専門的に分化され、各部門が協力して組織を運営していく分業の形態をとる。

     

とあり、その弊害として20世紀のアメリカの社会学者マートンは「官僚制の逆機能」を挙げている。

 

  • 規則万能(例:規則に無いから出来ないという杓子定規の対応)
  • 責任回避・自己保身(事なかれ主義)
  • 秘密主義
  • 前例主義による保守的傾向
  • 画一的傾向
  • 権威主義的傾向(例:役所窓口などでの冷淡で横柄な対応)
  • 繁文縟礼(はんぶんじょくれい)(例:膨大な処理済文書の保管を専門とする部署が存在すること)
  • セクショナリズム(例:縦割り政治や専門外の業務を避けようとするなどの閉鎖的傾向)
またやはり20世紀のイギリスの歴史学者パーキンソンの法則では、
  • 「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」(第一法則)、
  • 「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」(第二法則)
  • 「組織はどうでもいい物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く」(パーキンソンの凡俗法則)
アドホクラシーとは、ビューロクラシーのような硬直化したものではなく、アドホック・コミティのように解散を前提とした組織であり、、刻々と変化する状況や目的に応じて、流体のように対応できる組織のことだ。

 

必要があれば集合し、時期が来れば解散して、また新たなチームを組んで事に当たる。

 

いわばプロのサッカーチームやプロ野球のチームのような組織だと思えば分かりやすい。

 

人々はそうして自分の命や人生の一部である時間を、必要に応じて必要なだけ使うようになる。

 

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