「失われた10年」とは

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90年代の日本はバブル崩壊の後遺症で不況が続いた。

 

バブル崩壊後の十年を「(日本の)失われた10年」と呼ぶが、90年代末はアジア通貨危機が発生した上に、橋本政権下で消費税が2%も上昇したこともあって、本当にみんな節約・節約であった。

 

私も4年ほどスーパーで品出しをしていていたのだが、この頃は日曜でも店内が閑散としていて、商品の補充するまでもないという状態だった。

 

最近、草食男子なんて言って、欲のない男性が増えたと言うが、彼らはこのバブル崩壊後の長期不況下で育った人々だから、バブル時代に育った楽観世代とは全く違っていて当然だろう。

 

しかしなぜこんなに不況が長期化したのか。

 

それは信用収縮が起こったからだ。

 

信用収縮というのは簡単に言うと、企業に貸す金がなくなることだ

 

銀行や信用金庫など、金融機関というのは企業にお金を貸し出して、利息をもらう商売である。

 

だから可能な限りお金を貸し出して、儲けを大きくしようとするワケなのだが上限がある。

 

銀行などの金融機関というのは、学校で習ったと思うが、「信用創造」というのを行っていて、たとえば100万円ちょっとの預金があったら、100万円を5つの企業に貸し出したりできるのだが、それがバブル崩壊で、できなくなってしまったわけだ。

 



信用創造とは、企業を信用して貸し出すこと

信用創造とは、限りある資金をみんなで使う仕組みだ。

 

どういう仕組みかというと、100万円をまずA社に貸し出すが、そのお金を当座預金口座に入れ、銀行小切手などで支払いをしてもらう。

 

そうすると100万円の現金は銀行にそのまま残るので、今度はB社にその100万円を貸して、同じように当座口座で管理してもらう。

 

こういう事を何度か繰り返すと、元は100万ちょっとしかなかった現金が5倍にも10倍にもなって、たくさんの企業の営業資金として働くって事になるわけだ。

 

もちろん当座預金口座を利用せずにA社に100万円貸し出して、その100万円をA社が取引先や従業員に支払っても、そのお金はたいてい銀行に預金されることになるので、その預金をもとにして、また貸し出しが起こり、信用創造が発生する。

 

ただ現金をなるべく手元に置いておきたい銀行は、融資先の取引口座や従業員の口座を自分の銀行で開いてもらおうとする。

 

その方が、自分のところでたくさん貸し出すことができるからね。

 

こんなことができるのは「貸したお金は、返してもらえる」という融資先に対する「信用」があるからだ

 

銀行は、多少の焦げ付きが発生したとしても、貸した金がほとんど返ってくるという前提で、ドンドンお金を貸すわけだ。

 

ところが90年代前半にバブルが崩壊して、会社がバタバタ倒産した。

 

企業が倒産したら、その企業に金を貸していた融資が焦げ付く。

 

つまり貸した金が返ってこないということが「確定」する。

 

そうすると銀行が持っている自己資本が減るので、貸し出しできる金が減る。

 

銀行というのは国際決済銀行(BIS)の定めたBIS規制(バーゼル合意)によって、国内専業銀行は自己資本比率が4%以上、国際業務銀行は8%以上を維持するように貸し出せる上限が決まっているので、融資が焦げ付いて自己資本が減ると、新たな融資ができなくなってしまうわけだ。

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