医療費の増大は、高齢社会では負担できない
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今、先進国の最大の問題は「高齢化」である。
65才人口が人口の14%以上の社会を「高齢社会」、21%以上の社会を「超高齢社会」と呼ぶが、日本はすでに24%となり、十年後には30%を越えると言われている。
高齢化問題は欧米諸国でも大問題で、ドイツやスウェーデンも日本の後を追っているし、イギリスやフランスも16%を越えて超高齢化社会いる。
中でも一番問題なのが、医療費の爆発的な増大である。
というのも65歳以上の高齢者一人当たりの医療費は、65歳未満の人の医療費の3倍かかると言われていて、社会が高齢化すれば、医療費の増え方は突然増え出す。
→医療費の各国比較(対GDP比)医療費や医療制度というのは国によって本当に様々であるし、健康保険制度や統計データの計算方法もコロコロ変わるので、あまりまともな比較はできないが、とにかく「今現在増えていて」「あと二三十年は増え続けるだろう」ということは確実である。
となると、論争になるのは「増大する医療費を誰が負担するか」ということだが、結論はもうすでに出ている。
すなわち、「増大する医療費は、高齢社会ではもはや負担できない」ということである。
じゃあどうすればよいか。
医療や医療制度に対する考え方が、根こそぎ変わりだしているという。
病院に行くと、殺される?
トフラーのテキストによると、アメリカでは院内感染で死亡する患者が9万人もいるという。
さらに医療事故で死ぬ患者の数も4万4千人以上いるという。
院内感染というのは、何かのケガや病気で入院したが、病院内で別の感染症にかかってしまうことを言うのだが、それによって死亡する人間が九万人もいて、車で事故死する確率より高いというのだからビックリだ。
入院したら、交通事故ならぬ医療事故で死ぬ可能性があると言うことを意識しなければならない時代になったってことだ。
また旅客機の発達によって世界中を飛び回る人が増えた結果、様々な新型インフルエンザなどの感染症・伝染病の流行を国境で食い止めることができなくなった。
最近では老人性の肺炎などでなくなる人もニュースになったりもするが、つまり感染症・伝染病に対して有効だった従来の医療が、今やまた感染症・伝染病によって大きく脅かされているわけである。
そしてその一方で、人々の死亡原因は、心臓病・ガン・脳卒中など、治療に多額の費用がかかるモノばかりになり、加えて認知症・老人ぼけなど、介護が必要な人口も増え、医療費や介護費用増大の大原因になっている。
こうして医療への需要や支出が増え続けているのにもかかわらず、なぜか病院の経営が赤字化して、公立病院すら閉鎖の憂き目にあっている。
需要が増しているのに、供給が減る。
異常事態である。