待ち時間ゼロが当り前の時代
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情報社会の特徴は、待ち時間と距離が限りなくゼロに近づいたことである。
もちろん、待ち時間も距離も完全なゼロにはならないが、パソコンや携帯電話などの情報端末がインターネットにつながってさえいれば、世界中のどこにいても連絡を取ることができる。
また情報端末にビデオカメラとマイクがついておれば、世界中のどこの様子でも伝えることができるし発信者がいれば世界中で見ることができるのだ。
こんな事は今まで、アメリカやソ連などの軍事超大国でしかできなかった。
彼らは世界中の上空に偵察衛星網を築き、地球上のどの様子でも見えるようにした。
しかしそれが今や、先進国や中進国では普通の一般市民でもごくわずかな費用でも、可能になってきたというわけだ。
こういう時代になると、時間と距離に対する価値観が、まるで変わってくる。
つまり「待たないのが当り前」であるし「代わりは世界中から探せる」のだ。
商品やサービスに関する情報も、インターネットで検索すれば、かなりの情報を手に入れることができるし、他店での価格も分かる。
売り手側の持つ情報と、買い手側の持つ情報に差があることを経済学では「情報の非対称」と呼ぶが、情報の非対称も非常に小さくなるので、情報を全部出した上で、別の部分で勝負する必要も生じてくる。
何しろネット上で売っているような汎用品であれば、いくらでも価格比較することができるし、価格比較専門サイトだって山ほどあるわけだから。
コールセンターの電話、どこにつながっている?
工業社会で暮らす人間は、時間と空間に縛られる生活を余儀なくされた。
たとえば朝9時に学校や会社の自分の席や、工場の所定の位置にいなくてはならなかった。
サービス業のようなものでも、決まった時刻に決まった場所にいなくてはいけなかった。
工場は工業地帯に密集しているので、労働者は工場のある周辺に住まなくてはならなかったし、サービス業で働く人々も、ユーザーや消費者がいる近隣地域に済む必要があった。
しかしパソコン上でできる仕事であれば、インターネットにつながってさえいれば、今やどこにいようと大差なくなってきた。
たとえばテレビショッピングで注文を受け付けるコールセンターは沖縄や仙台、札幌にたくさんあるし、NTTの電話案内なども全国各地にコールセンターを設けている。
中国の大連での日本語熱を幸いにして、大連にコールセンターを設けている企業すらある。
以前は電話というと、電話会社が業務を独占していた上、距離に応じた形で電話料金の体系ができあがっていたので、電話をかける場所と電話が受ける場所が遠距離だと膨大な電話料金がかかっていた。
しかしインターネット網を使ったIP電話が普及したために、国内であろうと海外であろうと、本当に安価に電話することが可能になった。
英会話などの外国語のインターネットを使ったレッスンなども、時間帯によってつながる国が変わり、アメリカの人と話したり、イギリスの人と話したり、インドの人と話したり、インドネシアやフィリピンの人と話すなんて事もある。
商品やサービスを購入する人は、インターネットにつながった情報端末があれば、いつでもどこでも商品やサービスを購入できるし、一方、商品やサービスを販売する人も、お客さんの近くにいなくても商売ができるようになったというわけだ。