50兆ドルの世界経済を支えているモノとは?
更新日:
トフラーのテキストによると、世界の経済規模は50兆ドルほどだという。
50兆ドルというと、1ドル80円で換算すれば、約4000兆円で、日本政府の税収の100倍、日本のGDPの約8倍以上の規模だ。
ところが実はこれは世界の富のウチの半分であり、もう50兆ドルほどの計算されない富があるのだという。
それはプロシューマ(生産消費者)活動によって生み出される富で、非金銭経済による生産なんだという。
プロシューマ活動とは、「自分のやりたい事は自分でやっちゃうよ」というもので、たとえば日曜大工で家具を作ったり、自分の着る洋服を自分で作ったりするような活動のことだ。
そして自分のために作ったものでも、他人に譲ったり他人に使わせる事もある。
たとえば「クッキーをたくさん作ったので、おすそ分けします」…というのもプロシューマ活動ってことだ。
プロシューマ活動には、日常生活でのあらゆる活動が含まれていて、たとえば自宅で料理を作って食べるのも、広い意味ではプロシューマ活動になる。
これらはたいていの場合、金銭のやりとりを伴わないので、GDPに算入されない富だと言うことになるわけだが、それが少なく見積もっても50兆ドルくらいはあるだろうと言う話である。
しかし大事なことは、非金銭経済の規模の大小ではなく、これらのプロシューマ活動がもし存在しなかったならば、金銭経済は成り立たないと言うことである。
トイレのしつけは誰がした?
50兆ドルの金銭経済は、50兆ドルの非金銭経済、すなわち金銭授受を伴わない生産によって支えられている。
というのも経済での生産の担い手は労働者であるが、労働者は誰が教育しているのだ? …と、トフラーは問う。
読み書きを教えるのは、現代では学校の役割だと考えられているが、実際はそのほとんどを家庭や親が担っている。
勉強ができる子供の親というのは、たいてい親が子供を教えているし、子供が自分で勉強するようにうまく仕向けている。
できる子供は、小学校に入る前から家で計算ドリルや漢字ドリルをやっていたりして、自分で勉強する習慣を持っているが、そう教育したのは家庭であって学校ではない。
東大卒タレントでおなじみの某タレントさんなどは、幼稚園に行く前に九九を暗唱させられたとか言うが、こう言う家庭の中で行われる教育が、実は経済を支えているのだという。
そしてこれは、学力以前の「しつけ」に関しても同じだという。
たとえば、服を着る、歯を磨く、箸を使う、トイレで用を足す。
こんにちわ、さようなら、失礼します、ありがとうなど、様々な日常会話。
こういった「しつけ」をキチンとされていない人間は、普通の企業や組織では、従業員として雇えないはずだ。
こういう基本的な「しつけ」を行っているのも実は家庭であり、金銭授受を伴わないプロシューマ活動ということになる。
つまり経済というのは、こういうプロシューマ活動を土台として成り立っていると言うことだ。