ヤフーもグーグルも、最初は学生の趣味から始まった
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自分のために作り、それを他人にも提供する者を、トフラーはプロシューマ(生産消費者)と呼んだ。
このプロシューマによる活動が、パソコンとインターネットの普及と相まって世界を今、大きく変革しつつあり、甚大な影響を及ぼしているという。
その一つが「タダ(無料)で使えるツール」の登場だ。
たとえばブログ、ツイッター、フェイスブック、ヤフーやグーグルと言った検索エンジン、ウィキペディアのような百科事典…。
アプリと呼ばれるゲームなどは有料だったりするが、しかしお金を出さなくても基本的なことは全部無料。
収入は広告収入で得ている。
つまり民放テレビやラジオと同じ方式だね。
ところがこれらの無料ツール、テレビやラジオと違うところが一つある。
それはこれらの無料サービスは、企業が開発費をかけて狙って開発したものではなく、学生やマニアなどが、自分が使うために作ったプログラムをネット上に公開したところから始まるってことだ。
それが評判に評判を呼んだために、企業化したり、大企業が資本参加し、何百万人、何千万人ものユーザーを抱える巨大ビジネスに成長したのだ。
情報社会というのは、こうした若いプログラマたちが創り始めた世界なのだ。
国が使うコンピュータも、無料プログラムで動いている
情報社会は、若いプログラマが創った世界だなんて、にわかには信じられないことである。
というのもコンピューターやインターネットというモノは、企業や大学やアメリカの軍部が大金を投じて研究開発し作ったものだからである。
ところが今や、大企業や政府すら、この若いプログラマたちによって作られた無料ツールを利用し、中進国や途上国政府などは、それに依存さえしている状態だ。
なにしろサーバー・マシンを動かすOS(Operation System)まで学生やマニアが作った無料OSを使っているのだから、いかに革命的な事が起こっているのか、想像に難くないだろう。
このOSは、1991年、フィンランドのヘルシンキ大学に通う一人のプログラマが作り始めたもので、作者リーナス・トーバルズの名前にちなんでLinux(Linus's Minix:リナックス)と名付けられている。
普通のパソコンは電源を入れると、ウインドウズやマックOSというプログラムが動くが、あれの少しシンプルなものだと思えばいいだろう。
このリナックスは元々、UNIX(ユニックス)OS用プログラムを自分のパソコン上で使うためにトーバルズが作ったモノなのだが、革命的なのは、これが全てが無料で公開されているということである。
これをオープンソースと呼ぶが、特定のルールの下に世界中の何千人、何万人もの有志がこのプログラムを管理し、バグ(プログラム上の不具合)があれば誰かがそれを見つけて修正し、欲しい機能があれば、誰かが作ってドンドン付け加えているのである。
インターネットの世界では、今やこういう無料ツールが数え切れないくらい存在するわけだから、ただ事ではない。