実は波及効果の方が重要だった?

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21世紀に入ってから増えた300兆円以上の日本の借金、なぜかGDPを押し上げる効果が殆どなかった。

 

2%以上経済成長すると、雇用が増えると言われているが、どうしてもGDPの伸びが2%以上にならなかった。

 

バブル崩壊後の90年代の財政出動は、民間投資が冷え切っていたため、それを埋め合わせる効果があったとされるが、21世紀に入ってからの政府の投資は、なぜ経済成長につながらずGDPを上げなかったのか。

 

一つは企業の債務返済や個人の損失補填に充てられて、投資にも消費にも回らなかったこと。

 

一つはGDPの6割を占める個人消費が節約思考になり、外国の安い商品購入にシフトしたこと。

 

これらは確かに投資の乗数効果を相殺して消してしまう要因ではある。

 

にしても300兆円以上の金が全部それに消えてしまったとも思えない。

 

というのも90年代末の小渕政権時代に、すでに巨大な財政出動があり、銀行に注入されていた公的資金も2005年から返済が始まっているので、そのころには不良債権処理も殆ど終わり、倒産企業の後始末も終わっていたはずだから。

 

となるとあと考えられるのは、追加的公共投資によって波及効果が発生しなかったということかも知れない。

 



経済成長は、持続的な投資があってこそ起こる

経済成長というのは、実は投資によって起こるものである

 

投資というのは簡単に言うと、消費に回すお金を消費に回さないで、近い将来に利益を生むモノに回すということだ。

 

投資によって新しい富を生み出し、その富によって得た利益を、また新しい投資に回して富を生み出していく。

 

これが経済成長って事だ。

 

だから持続的に投資が行われないと経済成長はなく、不況が続く。

 

減税や公共投資などのケインズ政策の根本は、需要が増えれば、それに伴った波及効果で投資が増えることを期待しているだけで、実はこれだけでは経済成長にはつながらない。

 

だからケインズ政策で完全雇用が成し遂げられたのは、皮肉にも戦争による猛烈な需要があったときだけに限られるし、ケインズもそれくらいの規模でないと無理だと考えていたと言う話も聞く。

 

日本でも戦前の東北の冷害による窮乏を救ったのは軍需産業だったし、戦後の日本経済復活の足がかりになったのは朝鮮戦争による特需であった。

 

だから公共投資自体では経済成長につながらない。

 

全然足りないし、財政でそう言うことをすると金利も上がってしまい、民間部門の生産活動も圧迫し始める。

 

(クラウディングアウトと言う)経済が成長するには、乗数効果だけではなく、波及効果がないといけないのだ

 

高度経済成長期から90年代までの公共投資が有効だった理由は、投資があったときに波及効果が起きる余地がまだまだあったからだろう。

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