情報の非対称は、独占利益を生む

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従来のビジネスでは、情報の非対称でお金を儲けようとするヤツも多かった。

 

情報の非対称というのは、売り手と買い手が持つ情報が、全く同じでないと言うことだ。

 

たとえば売り手は自分が売ろうとしている商品やサービスについて、色んな情報を持っている。

 

また競合他社にはどんな商品やサービスがあり、それは自社の商品やサービスとどうちがうのか、ユーザーや利用者の評判やクレームなどの情報も持っている。

 

ところが買い手の方は、そう言う情報をあまり持っていないことが普通だった。

 

だから売り手は商品やサービスの利点ばかり上げて、欠点を言わないで売ろうとする輩(やから)も多かった。

 

情報の非対称があると、売り手は有利な条件で商売をすることができる

 

何しろ買い手は売り手を信用して買うか、信用しないで買わないと言う事しかできない。

 

そしてそれが必要な商品やサービスであれば、信用して買うという選択肢しかない。

 

だからいわば「独占利益」と同様の利益を手にできるわけだ。

 

20世紀に共産主義が世界中で猛威をふるったのも、共産主義者たちが情報の非対称を最大限に利用したからであろう。

 

共産主義者たちは、何か「答え」を持っているように振る舞い、それに合わない行動や活動は「反動的」(世界の流れに反しているモノ)として扱った。

 

共産主義の理想を語り、しかしその弊害については何も語らなかった。

 

そして共産主義革命後には、国境に高い塀を築き、テレビやラジオ、新聞や雑誌など、海外の情報が入らないように情報を遮断した。

 

情報の非対称を作ると独占利益が得られるってことを、彼らは利用していたわけだね。

 

だけどそんなやり方では文明国の市民は信用なんてしないから、結局、暴力で革命を起こすしかなかったわけだ。

 



情報の非対称と宗教改革

情報の非対称を利用すると、優位に立てる。

 

これが情報社会以前の社会の一つの儲け方であった。

 

これは共産主義者たちだけでなく、宗教改革以前のカトリック教会なども似たようなことをしていたらしい。

 

たとえば聖書はラテン語(ローマ帝国の公用語)で書かれているが神父でなければ聖書を読めないようにして翻訳を許さなかった。

 

曰く、俗人が聖書を読もうとすると「目が潰れる」んだとか。

 

そうして聖書に何が書かれているかをハッキリさせず、利用できる部分だけを使って信者をコントロールしようとしたわけだ。

 

しかし16世紀に、ドイツのルターなどがラテン語で書かれた聖書をドイツ語に翻訳し、グーテンベルグの活版印刷で印刷されて普及したことからローマ・カトリック教会のキリスト教独占体制は崩れだした。

 

聖書を神父以外が自由に読めるようになったために、カトリック教会の教えと聖書の乖離があれば異議が唱えられるようになり、ヨーロッパ諸国で宗教改革運動が広まって、その結果、カトリック教会は西ヨーロッパに対する影響力を大きく損なうことになった。

 

情報の非対称が大きいことを利用して独占的利益を上げようとすれば、情報の非対称が小さくなれば、その商売は成り立たなくなる。

 

だからパソコンとインターネットが普及した情報社会では、情報の非対称で立場を維持したり、儲けることは難しくなった

 

いくら情報の非対称で儲けようとしても、情報を公開してお客さんを集めようとする業者はドンドン出てくるし、価格比較サイトや口コミサイトが乱立して、2ちゃんねるなどの掲示板やブログで散々書かれてしまうので、隠せないのである。


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