医療の需要は増えたのに、なぜ供給が減っているのか?

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高齢化がドンドン進み、あと十年もすれば3人に1人が65歳以上の超超高齢化社会になる日本。

 

医療に対する需要はドンドン増すばかり。

 

ところがなぜか病院の経営は赤字化し、公立病院ですら閉鎖せざるを得ない状態だ。

 

日本の医療崩壊の直接の原因は、医師不足である。

 

特に産婦人科医の不足が甚だしく、外科医も不足気味だという。

 

それによってここ十年で、様々な事件が起き、マスコミ等でも大々的に取り上げられた。

 

たとえば奈良の町立病院入院中の妊婦が脳内出血を起こし死亡した事件。

 

奈良県立医科大付属病院に受け入れを拒否され、大阪の国立病院まで運ばれ、帝王切開により子供は助かったが妊婦は死亡。

 

一年後には、同じ奈良県で妊婦が腹痛を訴え救急車で運ばれるモノの、やはり同じ県立医科大病院に受け入れを拒否され、3時間もかかって遠く離れた大阪の高槻病院へ搬入中に破水・流産。

 

奈良県の緊急医療体制不備が露呈された。

 

東京でも産科医不足は深刻で、かかりつけの産婦人科なしに子供を産もうとすると、受け入れ病院が決まらずに、様々な病院をたらい回しにされて様々なトラブルが起こっていることも報道されている。

 

外科医や産科医は、いつ患者が来るか分からないので待機が必要だ。

 

激務な上に医療訴訟リスクが高く、だからなり手が少ないのだという。

 

が日本の場合、医師の数自体、圧倒的に少なく不足しているのだ。

 



医療費抑制のためになぜ医師を減らした?

医師不足の原因は、80年代前半に始まった医師養成の抑制政策だという。

 

当時、急激に増大していた医療費を抑制するために、政府はなんと医学部定員を7%削減するというワケの分からない策に出た。

 

供給が過剰になれば値段が下がると言うのが経済の大原則だが、医者が増えれば医療費が増えると言って、逆に医師の供給を減らして医療費を抑えようとするとは、さすが国民搾取主体、やることが支離滅裂で、無茶苦茶だ。

 

医療費抑制は社会の要請ではあるが、質や量を減らして良いとは誰も言ってないはず

 

こんな時、まともな経営者なら、知恵を絞って質量を確保する方法を考えるが、予算がなければ減らせばいいと言うのが公務員の考え方らしい。

 

これにはもちろん日本医師会のような圧力団体が、既存の医者の利益を守るために、そう働きかけたと言うこともあったのだろう。

 

供給が少なければ当然、利益を得るのは既存の組織や人間だしね。

 

当時の国会議員の選挙はまだ中選挙区制だったから、有権者の多数から支持を取り付けなくても良いという政治的背景もあったのだろう。

 

小選挙区制であれば、特定の業界の票を集めるだけでは当選できないから、医療の充実は、ほとんどの候補の公約になっただろう

 

が、当時の中選挙区制では、特定の業界のいくつかにアピールするだけで国会議員に当選できたから、こんなバカな政策が通ったのだろう。

 

まさに中選挙区制の弊害である。

 

が、その結果、医師の慢性的な不足に陥った。

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