王様がいなくなれば民主主義になる?

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国王を追放し、貴族院も解散し、共和制イングランドを作ったクロムウェル。

 

しかし王政を打倒したモノのその後は混乱が続き、結局、軍事独裁政権になってしまった。

 

その後の世界の歴史を見てみても、王政が倒れた後にできるのは、軍事政権か共産党独裁政権だ。

 

というのも国王や皇帝が追放された後に、憲法を定めるために議会が招集されたり、憲法制定議会の代表を選ぶ選挙が行われたりするが、結局、軍隊や共産党が暴力によって政権を奪ってしまうのだ。

 

ロシア革命や中国などでは、このパターンで共産主義国ができた。

 

ロシアでは二月革命で皇帝を監禁したあと、憲法制定議会を開くために選挙を行ったが、ボリシェビキ(共産党)が第一党になれないと見るやいなや、議会を強制的に解散し、野党も禁止し、監禁していた皇帝も殺して権力独占に走った。

 

中国では1912年の辛亥革命によって中華民国が誕生し、袁世凱が清朝皇帝を退位させ、国会や政党もできたのだが、大統領となった袁世凱は正式な大統領になったあと、国会を解散させて国民党も非合法化して独裁に走る。

 

その後、内戦や日中戦争の勃発など、戦乱が続いたあと、国民党は台湾に渡り、本土は中国共産党が支配するが、どちらも独裁政権を作ることになってしまう。

 

かたや軍事政権、かたや共産党独裁政権ってことだ。

 


民主主義者は王政打倒なんか叫ばない

王様がいなくなったら民主主義ができるなんて、真っ赤なウソであって、現実は独裁政権ができるだけだ。

 

軍隊や共産主義者が王政を批判したり王政打倒に向かうのは、民主主義と親和性の高い王政が邪魔だからに他ならない。

 

軍隊・共産党・公務員などの国民搾取主体というのは、国民から富を収奪しないと勢力を伸ばせない特異な存在である。

 

だから彼らは何をするにも一々議会に予算を要求したり、選挙を行って国民に信を問うような、うっとうしい民主主義制度など排除して独裁政権を作りたがる。

 

様々な階層から代表者を出して、政治を議論するような議会など信用しない。

 

議会なんか、一年中もめっぱなしなモンで、しかも政権担当者になにかっちゃあ意見してくるわけだから、「議会なんかいらん」「選挙もしない」ということになって、独裁のために王政打倒を叫ぶわけである。

 

王政打倒を叫ぶのはだから、民主主義でもなんでもない。

 

歴史に学べば、王政打倒で民主主義は実現しないのだ

 

台湾ではそれでもその後、自由経済政策によって民力が上がり、民進党という野党が誕生して、議会選挙が数十年ぶりに行われ、1996年からは国民による総統(大統領)選挙も実施され、政権交代も2度も実現している。

 

しかしもう一方の中華人民共和国では、建国後60年たっても、国民による普通選挙すら行われていない状態であるから、王政を打倒したくらいでは、民主主義になるってわけではないんだね。


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