議会制民主主義の元祖・イギリス貴族院とは
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民主主義というのは、国民の選挙によって政治の担当者・責任者を決める仕組みである。
民主主義というモノがどうやって誕生し、どうやって西欧社会に定着していったのか、ひとつづず見ていくことにしよう。
まずは、議会制民主主義の元祖イギリスの民主主義について。
イギリスは二院制議会の元祖でもあり、現在も二院制を維持している。
二院制とは、政治を審議するグループを二つ作って、より良い議決を得るための仕組みである。
イギリスの場合は、貴族院(上院)と庶民院(下院)に分かれていて、貴族院は貴族によって構成される議会であり、(現時点では)選挙はない。
つまり貴族院議員は、引退するまでずっと議員であり、イギリスのために大いに貢献した人間や、その子孫が議員である。
また特別に一代限り議員もいて、サッチャー元首相なども貴族院議員に名を連ねる。
少し前までは、最高裁判所の判事なども貴族院議員であった。
定員は特になく、現在の貴族院は700人ほどの議員がいるが、貴族院議員は、一部を除いて無給・歳費なしであり、名誉職である。
議会も実質的には庶民院の可決した法案や政策のチェックするだけなので通常は300人ほどで議案などを審議しているようだ。
今はこうして特に大きな権限を持たないが、しかし貴族院こそ議会制民主主義の大本であって、なんと700年もの歴史を持つ由緒ある議会なのである。
イギリスの首相には誰でもなれる
議会制民主主義は、イングランドの貴族院から始まった。
イギリスの議会制民主主義は貴族院から始まり、既にもう700年もの歴史がある。
しかし現在の議会の実権を握っているのは、700年の歴史を誇る貴族院ではなく、庶民院(しょみんいん)である。
庶民院は名目上は「下院」であるが、現在では、殆ど全ての議決権にぎっている。
というのも議会の議決は全て庶民院での議決が優先され、貴族院はそれに対して、意見を述べたり、一定期間、待ったをかける位の権限しかないのだ。
この点、日本の衆議院と参議院とは、全く仕組みが違うと思った方が良い。
で、現在のイギリス政治の主役である庶民院は小選挙区制で議員が選ばれる。
そして行政の長たる首相は、下院の多数会派の中から選ばれ、多数をとった政党の党首が自動的に選ばれる。
実を言うと、イギリスの首相には、特に何の資格も必要ない。
国王が指名すれば誰でもなれるのであるが、慣習法によって下院の議決に対して国王が任命している。
法案などについても、下院での議決がそのまま法律として執行される。
たとえばイギリスには予算案と言うモノはなくて、金銭関連法案で税収や支出が決まる。
が、これらの金銭関連法案は、上院で否決されても1ヶ月後に下院の議決がそのまま承認される。
また一般法案に関しても、上院で否決された法案でも、一年後に下院で再可決すれば法律化される。
現在のイギリス議会はだから、実質は一院制となっている。