選挙制度には実質、小選挙区制と比例代表制の2種類しかない
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民主主義において選挙制度は2種類しかない。
それは、小選挙区制と比例代表制である。
日本でかつて採用されていた「中選挙区制」というのは世界的には異様な制度で、政治的ポリシーも不明なため、真似をする国は殆どないようだ。
もちろん中選挙区のような複数の当選者を出す選挙制度もあるが、この場合は定員と同じ票数だけ有権者が投票出来る仕組みになっている。
つまり2人区であれば有権者は異なる2人に投票できるし3人区であれば3票ずつ持って異なる3人を選ぶわけだ。
イギリスでも2人区2票制で選挙をしていた時期もあるが、これは小選挙区制と結果が変わらなかったために止めたらしい。
また大選挙区制は、一位当選者と最下位当選者の獲得する票にとんでもない差が生まれるため、大選挙区ではなく比例代表制になるのが普通だ。
なので小選挙区制・比例代表制を押さえておけばよい。
まず最初の小選挙区制というのは、一つの選挙区から一人だけ選んで議員とする方法だ。
たとえば横浜市から1名、川崎市から1名、大阪市から1名、名古屋市から1名…と言う風に、一つの地域からそれぞれ一人だけ議員を選ぶ。
ただ横浜市と川崎市と大阪市と名古屋市では人口が違うので、選挙区内の有権者数がだいたい同じくらいになるように、それぞれの都市をさらにいくつかの選挙区に分けて、一票の重みに大きな差ができないようにする。
現在の日本の衆議院の場合は、300選挙区だから、だいたい30万人を一つの選挙区として設定していることになる。
小選挙区制のことを「多数代表制」と呼ぶこともあるが、厳密には小選挙区制と多数代表制は意味が違う。
多数代表制というのは、大統領や首相や知事など、一人の責任者を多数決で決めることであって、必ずしも小選挙区制を指すわけではない。
ただ、立候補者が他の候補者よりも多くの支持を取り付けないと、当選できないと言う点では同じであり、小選挙区制なら必ず多数代表制になる。
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小選挙区制とは、政治家に厳しい選挙制度
小選挙区制のメリットは、立候補者に少数意見に耳を傾ける努力を促せることである。
つまり小選挙区制では、経営者にも労働者にも、お母さんにもお父さんにも、年配者にも若輩者にも、広い階層から支持を取り付ける必要がある。
候補者自身の主義主張を訴えるだけでは当選できず、利害の相反する者の両方に対して納得いく、あるいは受け入れ可能な意見を集約して、それを公約として述べる必要がある。
選挙だとか議会だとか言うモノは、実は国民の意見を集約する仕組みであって、小選挙区制では、それを議員を選出する際に行うのである。
そのため小選挙区制では、立候補者や議員に有権者全体の利益を考える強いインセンティブが生じる。
小選挙区制で議員になった者は、有権者の意にそぐわない行動を取れば、次の選挙では落選の憂き目にあう可能性が高いので、議員活動中も有権者の意思確認や動向に関心を向かわせることも可能だ。
また議会でも、有権者の多数を代表しているので、比例代表で出された議員のようにイデオロギーや支援団体の意志に縛られずに比較的自由に討議することが出来る。
有権者の多数の利益になると判断すれば、議員本人の意志によって、所属政党の方針に反した行動を取ることも可能になる。
ただし所属政党の方針に反した行動を取った場合、次の選挙で当選できるかどうかは、その議員の行動次第であり、場合によっては所属政党の立てた別候補とも戦う羽目になったりもする。
また対立政党の候補者は、その間ずっと選挙区の有権者の意見を聞き、有権者の過半数から支持を集めるべく活動をしているので、気が抜けない。
つまり小選挙区制というのは、実に議員に厳しい制度なのである。