比例代表制では、議会軽視の議員ばかりの国会が出来る

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比例代表制の歴史は意外に新しくて、せいぜい百年ほどの歴史しかない。

 

元々はベルギーの法律家のドントが提案した方式で、国政レベルでは、1900年にベルギーで初めて実施された。

 

オランダ語の地域やフランス語の地域、プロテスタントやカトリックが入り交じるベルギーでは、元々考えが違う文化圏や宗教の違いが存在するために、地域代表ではない代表制が考えられたらしい。

 

今ではイタリアやドイツをはじめ、多くの国で採用されている比例代表制だが、様々な重大な矛盾を抱えているため、国ごとに独自の選挙制度になっている。

 

最大の問題は、前回も書いたが、比例代表制では少数政党が乱立しやすく、そして何にも決められないと言うことだ。

 

比例代表制の理念としては、様々な考えや立場の代表者を集めて、議会で議論して、より良い社会を作っていきましょう、と言うことだが、実際には、それは幻想でしかなかった。

 

というのも少数政党が議席を得たのは、マイナーな思想や立場の有権者の票を集めたからである。

 

それゆえ、どうでもいいことしか妥協することができないのである。

 

比例代表制によって議席を獲得している少数政党がもしも根本的な主張で他党に妥協すると、大政党に合流するか、消滅するかということになってしまう。

 

そのせいで国防や税制、教育などの重要テーマに関して、少数政党は主張を絶対に引っ込めることができないのだ。

 

そして主張を引っ込められない少数政党ばかりの議会では議論は平行線になり、何にも決められない。

 

つまり比例代表制というのは、実は議会軽視の選挙制度なのだ。

 

実際、比例代表制を採用している本家ベルギーでは12もの政党が乱立し、2010年の選挙では、連立交渉が難航して、1年近くも正式な政権が発足しない状況に陥っている

 


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比例代表制では、意見がまとまらない



選挙や議会というのは、国民や有権者の意見を集約して、決断すべき事を決めるための仕組みだ。

 

しかしどの段階で意志を集約するかは、選挙制度によって異なる。

 

小選挙区制では、有権者レベル・選挙区レベルでドーンと意見を集約してしまう。

 

つまり小選挙区制では、政権担当者を決めるのは国民や有権者で、一番多くの選挙区で議席を獲得した政党が政権を担当するわけである。

 

一方、比例代表制を主にした選挙制度では、国民や有権者の意志を集約するのは議会であり、誰が政権を運営するかは、議会での多数派工作で決まる。

 

つまり比例代表制によって選ばれた政党が連立交渉して、多数となった連立グループが政権を担当する。

 

イタリアの比例代表制のように、得票率トップの政党に必ず過半数の議席を割り当てる方法でなければ、比例代表制では、安定した政権を作ることは難しい

 

特にベルギーのように、12もの政党が議席を分け合ってしまうと、連立交渉そのものに時間がかかる上、非常に不安定になってしまう。

 

ベルギーは元々、オランダ語系の地域とフランス語系の地域から成り、宗教的には、カトリックもいればプロテスタントもいるので、人々の価値観は非常に様々で、意見の集約は難しい。

 

それにしても選挙終了後、1年たっても政権が発足しないというのであれば、何のための選挙だったのかという疑問が湧く。

 

ドイツでは、こういう小党乱立で何も決められない事態を防ぐために、得票率が5%未満の政党には議席を割り当てないという工夫をしているが、それでも6つの政党(実質は5つ)が議席を獲得していて、選挙の度に与党になる政党の組み合わせが変わったりしている。

 

そして議席の配分数の他にも問題なのが、誰を議員に選ぶかという方法である

 

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