比例代表制 拘束名簿式は、政党幹部にだけ都合がよいひどい選挙制度

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比例代表制の一つの問題は、小党乱立が起こりやすい上に、議会での話し合いが進まないと言うことがある。

 

そのために得票率が5%未満の政党には議席を配分しない制度(ドイツ)だとか、得票率トップの政党には、問答無用で過半数の議席を配分する(イタリア)ような小党切り捨ての制度が採用されている。

 

日本では比例代表というと、少数意見を議会に反映させやすい制度だとよく言われるが、実際には小党は切り捨てないと立ちゆかない制度なのである。

 

そして比例代表制でもう一つ問題になるのが、議員の選出法議員の正統性である。

 

議員の正統性というのは簡単に言うと選ばれた議員が、本当に主権者に選ばれたのか?…ということだ。

 

民主主義では国民や有権者が主権者だから、国民や有権者から選ばれないと正統性がない。

 

小選挙区制では、国民や有権者が直接、立候補者を吟味して得票数が最多の候補者を議員として選ぶわけだから、正統である。

 

もちろん得票数が1位でも、得票率(シェア)が低すぎる場合は、正統性が弱いので、そう言う場合は再投票も必要かも知れない。

 

だからフランスなどは、1回目の投票で過半数を得た候補者がいない限り、必ずもう一度決選投票を行って議員を選出している(2回投票制)。

 

ところが比例代表制では、議員の選び方も正統性もまちまちだ。

 

というのも政党が勝手に順位を決めた名簿順で決める方法から、国民や有権者が候補者主体で選ぶ方法まで、色々あるからだ。

 


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議員の選び方と、議員の正統性の関係



比例代表制で議員を選ぶ方法としては、

  • 拘束名簿式(クローズド・リスト式)
  • 非拘束名簿式(オープン・リスト式)
  • 単記委譲式(ヘアー式)
などというやり方があるが、中身は相当異なるものである。

 

まず拘束名簿式というのは、政党が立候補者に順位を付けた名簿を提出し、名簿順で当選者を決める方式である。

 

名簿順で当選者を決めるので、政党幹部にとって非常に都合が良い

 

というのも名簿の上位者ほど当選しやすくなるから、名簿に載せるリストを作る権限を持つ政党幹部の党内支配力が大きくなるからである。

 

拘束名簿式にも色々バリエーションがあるのだが、議員の正統性に関しては殆どゼロだろう。

 

というのも名簿の上位候補者と下位候補者では、当選条件が全く違う。

 

たとえば名簿順位上位のA候補者は、所属政党が100万票取ると当選できるが、名簿順位が下位のB候補者は、300万票ないと当選できなかったりする。

 

この違いは国民や有権者が作ったものではなくて、政党幹部が作ったものだし、名簿の順位によって当選条件が全く異なるというのは、立候補者側から見ても有権者側からも、明らかに公平さを欠く選挙制度である。

 

だから先進国で現在、単純な拘束名簿式を採用している国はない。

 

拘束名簿式がドイツなどで採用されているような記述もあるが、これは日本の参議院でかつてやっていたような単純名簿式とは全く違う。

 

ドイツでは立候補者は小選挙区と比例区に重複立候補させ、小選挙区制で当選した候補者をまず当選させたあとに、残った議席枠を配分するために拘束名簿が使われるだけである。

 

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