比例代表制では、少数政党を思い切って切り捨てないとダメ
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民主主義における選挙制度は、大きく分けて2種類しかない。
一つは小選挙区制、もう一つは比例代表制だ。
小選挙区制とは、選挙区から一人ずつ議員を出して、議会を構成する非常にシンプルな方法である。
一方、比例代表制と言う制度はベルギーのドントによって提案された方法で国政レベルでは1900年に初めてベルギーで実施された。
だからまだ100年ほどの歴史しかない新しい方法である。
ベルギーはオランダ語系の地域とフランス語系の地域から成り、宗教的には、カトリックもいればプロテスタントもいるので、人々の価値観は非常に様々だったから、比例代表という考えが生まれたらしい。
比例代表制を採用している先進国にはドイツやイタリア、EU議会や北欧諸国が挙げられる。
ドイツでは小選挙区比例代表併用制を採用しているが、これは比例代表制に小選挙区を組み合わせたもので、れっきとした比例代表制である。
比例代表制では、まず政党を選ぶ。
つまり有権者は政党に対して投票を行い、議席数は獲得した票に応じて各政党に割り当てる。
候補者名を書く比例代表制もあるが、原則として政党ごとの議席数がまず決まる。
たとえば民民党が40%、自自党が30%、明明党が20%の票を獲得したら、それぞれ4:3:2の比率で議員を選出する権利を得るというイメージだ。
ただし誰を当選者とするか決める方法は、小選挙区制と違って様々だ。
比例代表制では、得票を実際にどういう風に政党に割り振るか、そして議員として誰を選出するかという点が難しく、制度は複雑だ。
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議席数の配分法だけでも、実はたくさんある
比例代表制の選挙では、まず政党に議席を配分するのだが、そのための計算方法が、いくつもある。
日本の場合はドント式という計算方法用いているが、ヘア=ニーマイヤー式(ドイツ)や、修正サン=ラグ式(北欧)という計算方法もある。
また比例代表制では政党が乱立しやすく、政権運営が滞りやすいという問題がある。
これはたいてい、少数政党が自分の政党の存在感を示すために、様々な方法で多数政党のやり方を批判したり、自分の政党の主張を受け入れさせようと大騒ぎするからである。
これを防ぐために、得票率が少ない政党には議席を割り当てない規定もある。
これは急進的な政党や偏狭な思想の政党を排除するためのモノで、ナチス・ドイツが合法的に政権を取った方法を防止するためのモノらしい。
たとえばドイツでは、得票率が5%に満たない政党には議席を割り当てない。
それでも6つの政党が議席を獲得していて、選挙ごとに政権を担当する政党の組み合わせが変わる。
また逆に、得票率トップの政党に過半数を割り当てる方式もある。
たとえばイタリアでは、定数の54%にあたる340議席をトップの政党に保証する。
つまり得票率が50%に満たない状態でも、政権運営を安定させるために、無条件で安定議席数を与えるという方式だ。
比例代表制というのは、政党ごとに議席を割り振るだけでも、これほど様々な取り決めをしないと、上手くいかないモノなのである。