産業革命の前に農業革命あり

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人口が増えれば経済は成長する。

 

ただし人間の頭数だけ増えても飢餓人口が増えるだけで経済は成長しない。

 

人口増によって経済が発展するには、その前に農業の生産性が上がる必要がある

 

というのも農業の生産性が上がらなければ、たくさん農産物を作ることが出来ず、増えた人口を養うことが出来ないからだ。

 

たとえばイギリスで産業革命が起こる前にはノーフォーク農法という農法が開発され、それによって農産物の大量生産ができるようになった。

 

ヨーロッパではそれまで三圃式(さんぼしき)と言って、農地を三つに分けて、一つは夏穀、もう一つは冬穀、そしてもう一つは休耕地にしないといけなかった。

 

というのも、ヨーロッパの農地の多くは農作物を作るとミネラルが作物に吸収され尽くして、すぐに作物が育たない状態になってしまったのだ。

 

ところが休耕地でマメ科のクローバーやアルファルファを栽培すると、地力が見る見る回復すると言うことが発見された。

 

これはマメ科の根っこのコブに住んでいる根粒菌(こんりゅうきん)が、空気中の窒素を取り込んで栄養を作ってくれるからである。

 

普通の植物は空気中の窒素を肥料にすることが出来ないが、クローバーやアルファルファにはそれが出来る。

 

なので多少の荒れ地でも育ち、土地を肥やしたわけだ。

 

アルファルファなどは別名「ウマゴヤシ」と呼ばれるが、これは「馬を肥えさせる草」と言う意味なんだね。

 



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クローバーがイギリスに産業革命をもたらした?

荒れた土地でも育ち、土地を肥やすクローバー。

 

クローバーに地力回復の力があると気づいたイギリスでは競ってクローバーを栽培し始めた。

 

クローバーは蜂蜜を取るための作物としても適しており、葉っぱは茹でて食べることも出来て牧草としても使えた。

 

クローバーは肥料でもあり、エサでもあったわけだ。

 

またその一方で中耕作物であるカブなどが、家畜のエサになりうることが分かった。

 

カブを牛や豚に食わせるとちゃんと太ることが分かって、カブを栽培してストックしておけば、冬でも家畜をたくさん飼えることが分かってきたのだ。

 

そこでイギリスでは従来の三圃式農法の

「夏穀(大麦・ライ麦)→冬穀(小麦)→休耕(放牧)」
というローテーションから、
「夏穀(大麦・ライ麦)→牧草(クローバー)→冬穀(小麦)→飼料(カブ・甜菜)・ジャガイモ」
と言う風に農業のやり方を改めた。

 

これが輪栽式(りんさいしき)というローテーション農業で、イギリスのノーフォーク地方を中心に広まったのでノーフォーク農法と呼ばれる。

 

ノーフォーク農法では穀物生産は減る計算になるのだが、クローバーやカブなどの飼料作物栽培によって、冬でも家畜を舎飼いで飼うことが可能になり、畜産物の生産を大幅に増やして食い扶持を増やしたわけだ。

 

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