公務員厚遇と裏付けのない年金支給が、財政を破綻させた

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2010年に起きたユーロ危機も、世界の金融システムを大きく揺るがした。

 

事の発端は、ギリシャの2009年の選挙で政権交代が起こったことであった。

 

新しい政権が予算を組もうと財政状況を調べたところ、それまで発表されていた財政赤字の金額が、なんと全くのウソだったことが発覚した。

 

発表ではGDP比4%だった財政赤字が実は13%以上もあって、累積債務もGDPの110%超。

 

ギリシャは人口1100万人ほどの小国でGDPは35兆円ほどだが、毎年毎年4~5兆円ずつ赤字が増えていたって事で、ギリシャの国債・ソブリン債は危ないって事が分かってしまった。

 

そしてポルトガルやアイルランド、スペインやブルガリアなども、対外債務が発表よりもかなり多いと言うことが次々と発覚した。

 

これらの国々を総称してPIGS(ピッグス)と呼ぶが、PIGSに共通するのが、豊かな年金と公務員の高待遇であった。

 

ギリシャなどは、労働人口の25%が公務員で、平均寿命は78才なのに、なんと50才から年金が支給されると言う有様。

 

いくら観光客がたくさん来る国だと言っても、食糧自給もできない国だし、こんな金、一体誰が稼いでいるんだろうと思ったら、借金で年金をまかない、公務員の給料を払っていたわけだね。

 



信用創造とは、風船をふくらませている状態

それにしてもGDP比13%、5兆円弱赤字を毎年垂れ流すなんて信じられない。

 

日本で考えるとGDPは約500兆円だから、13%なら65兆円ってこと。

 

さすがに労働者の四分の一が公務員で、年金も50才から支給すると毎年それくらいの信じられない赤字が出てしまうって事だろうね。

 

ギリシャの放漫財政で困ったのが、本家EUメンバーのフランスとドイツ。

 

ギリシャ国債やソブリン債(政府保証の様々な債権)をイギリスやドイツ、フランスなどの銀行や投資家が、山ほど買い入れていたもんだから大騒ぎ。

 

もし仮に2001年のアルゼンチンのように、ギリシャがデフォルト宣言したら、ギリシャ一国の問題ではなく、ユーロ全体が沈没しかねない。

 

ユーロに通貨統合する条件は、単年度赤字がGDP比3%以内で、累積債務もGDP比60%と言うもので、これを維持するという厳しいモノだったが、ギリシャが通貨統合条件を、まさかここまで守っていなかったとは。

 

しかもそれを隠して国債を発行していたわけだから、信用失墜も甚だしい。

 

しかしギリシャは独自通貨を発行しているわけではないから、変動相場制にして為替レートで調整すると言うこともできない。

 

金融とは「信用創造」であるから、信用収縮が起こると一気に大不況が襲ってくる。

 

2年前もサブプライムローンとリーマンショックでえらい痛手を負ったところだ。

 

だから間近に迫ったギリシャ国債がキチンと償還されなかったらヤバいということで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)はギリシャに対して緊急融資を行い穴埋めした。

 

国債発行額を毎年GDP比3%以内に抑える事を条件に、3年間で14兆円もEUやIMFが支援することになった。

 

そしてユーロ参加国全体に適用される支援システムが矢継ぎ早に打ち出され、ヨーロッパの主要銀行に、どれくらい体力があるかのストレス・テストが行われた。

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