そして「同時性」がさらに富を大きくすることが分かった。
同時性というのは、簡単に言うと「タイミングを合わせる」ということで、
農耕社会では、余り必要でなかった概念である。
しかも同時性は、1980年代まで、それほど重要視されてこなかった。
というのも欧米の大メーカーでは、原材料やエネルギーなどの資源を
まず揃えてから生産する方式が一般的で、
時間通りに間に合わせないといけないという意識は、薄かったのだ。
しかし80年代前半に絶好調だった日本に学べと日本式経営が注目され、
トヨタの「JIT(ジット:ジャスト・イン・タイム)生産方式」
別名「かんばん方式」が欧米で研究された結果、
同時性が富を生むことがわかってきたという。
トヨタのJITとは「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する」ということで、
在庫を最小限まで少なくする工夫である。
販売店から車の注文が工場に入ったら、
それに基づいて翌日以降に製造する車の車種や数量を調整する。
車種や数量を決めたら、そのために必要な部品を部品会社に発注し、すぐに納品してもらう。
販売情報を関連会社で共有することによって、車を作る時間を短縮し、在庫を減らす。
これによって在庫の管理費用も大幅に削減できるし、売れない在庫を持つリスクも減らせる。
部品メーカーや下請けメーカーも、原材料さえ確保しておけば、
最小限の在庫ですむようになるため、関連企業全体の付加価値も大きくなる。
トヨタが開発した生産方式は、1990年代にはアメリカの大企業にも広まり、
コンピューターやインターネットの普及と相まって、さらに発展していった。
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